ランナーに多い膝の障害と、この時期に注意したい熱中症について。
こんにちは、理学療法士の山口です。秋・冬の大会に向けて日々の練習頑張ってることと思います。ランニング障害の中でも多い、ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)についてと、この時期に注意してほしい熱中症についてお伝えします。
膝蓋骨下極の膝蓋腱付着部を主体とした靭帯の微小な損傷の繰り返しによる変性、膠原線維の増殖や血管新生といった炎症反応を伴っています。
症状として、膝蓋骨下極の痛みで圧痛や軽度の腫脹、膝可動域制限や大腿四頭筋の萎縮も認めることがあります。徒手的テストでは、squatting testで疼痛が増強します。
squatting test
単純X線では、膝蓋骨下極の不整像や膝蓋靭帯移行部の石灰化を認めます。MRIでは、膝蓋腱近位が肥厚し高信号領域となります。超音波検査では、膝蓋腱近位後方部が肥厚し無エコー領域となります。
治療として、アイシング・大腿四頭筋のストレッチ、筋力強化を中心に行います。また、運動負荷の制限と下肢アライメント異常に対しては、装具やフォームの修正を行います。6ヵ月以上の保存治療でも改善しない場合は、手術適応になるかもしれません。
次は熱中症についてです。猛暑も続きこの時期には熱中症についても気をつけたいものです。市民ランナーの方は水分はマメにとりましょう。熱中症の簡単な知識についてお紹介します。
・体重の1%の脱水が0.25℃の体温上昇をもたらし、2%の脱水(喉の渇きを感じ始める)でパフォーマンス低下し、体重の3%以上の脱水で体温調節が障害され、パフォーマンス維持は困難となり、さらなる脱水の進行により生命の危機にさらされるます。暑熱環境下のマラソンにおける熱中症の予防には、⑴環境温の把握、⑵環境温に応じたトレーニング計画と水分補給、⑶暑熱馴化を行うこと、⑷トレーニング前後の体重変化、⑸熱を発散させやすいスポーツウェアの着用が必要です。
水分摂取の注意点として、水は量を多く取ればよいというものではなく、暑熱環境下では0.2~0.3%の食塩を含んだものが適しています。熱中症発症を心配して水だけを飲み過ぎ、塩分補給をしないとめまいや吐き気、息切れ、手足のむくみがみられ、重症の場合は頭痛、意識障害が出現し昏睡状態に陥ることもあります。水の摂り過ぎには注意が必要です。スポーツドリンクを選ぶ場合は、100ml中にナトリウムが40~80ml入っているものが勧められ、運動量が多い場合は糖分も補給します。脱水状態は熱中症発症の危険因子であるため、事前の補正は重要です。喉が渇いてからだと脱水状態になっていることが多いので、喉が渇く前から水分をとることが重要です。
ランニング障害など気になることがあれば、当クリニックにご相談ください。
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